2021年3月6日土曜日

お金を詠む4 1000円~9999円(随時更新)

 1000円

ときどきは白き狐の貌をするむすめが千円くださいと言う
吉川宏志『鳥の見しもの』2016

チロルチョコよりも小さく畳まれた千円札をよみがえらせる
山川藍『いらっしゃい』2018

横顔に定評のある店員に二秒見とれるごとに千円
柴田瞳(出典調査中)

千円札の束ね方うまくなりレジを開けばふんわりと羽
狩野悠佳子 「穀物」創刊号2014

かなしんだり憐れんだりのその度に千円ぐらい損するような
松木秀『5メートルほどの果てしなさ』2005

いつも犬をみにいく見にいくか雨を心から言いっぱなしだ千円払うよ
瀬戸夏子『そのなかに心臓をつくって住みなさい』2012

被災者といふ他者われに千円札いきなり握らする老女をり
大口玲子「短歌往来」2011・7

しばらくを千円理髪に並びたり待ち時間とは平穏のこと
田中徹尾芒種の地』2016

オレンジ・カード千円分の逃亡をさもなくばわが詩的悲傷を
藤原龍一郎 『19××』1997

卒業式の前の日に知る千円でバラは三本買えないことを
俵万智『チョコレート革命』1997

真夜中の自販機ジジジと千円を吸い込みじっと注文待てり
武富純一『鯨の祖先』2014

古き帯の値に得たる千円を働きてとりしごとく錯覚す
片山廣子(出典調査中)

「千円になります」と言い千円になってしまったレジ係員
木下龍也『つむじ風、ここにあります』2013

1001円~4999円

生餌という命もありて水槽に小赤百匹千五十円
関野裕之『石榴を食らえ』2016

かわいくはなく描かれた動物の絵あわせカルタ千二百円也
東直子(出典調査中)

千五百円以上送料無料なり無料にするため漱石を買う
松木秀『親切な郷愁』2013

今日は時給千五百円 真夜中のバーでピアノを弾く僕の値段
千葉聡(出典調査中)

割り勘で千五百円あつめてるそのわりにでかいことしやべつてゐたな
馬場あき子『あさげゆふげ』2018

二千円札をひとさしゆびに巻く 平和ってどこから平和なの
笹井宏之『てんとろり』2011

四年半ぶりに私の財布には入っていたり弐千円札
松木秀『RERA』2010

ヒトゲノムだったら五人分入るUSBメモリが二千円
松木秀『親切な郷愁』2013

魂のぬけしししむら焼き代は千円紙幣の三枚にて足る
中野昭子(出典調査中)

放置せしわが自転車を請け出しぬ四千円を区に支払って
奥村晃作『造りの強い傘』2014


5000円

何してもむだな気がして机には五千円札とバナナの皮
永井祐(出典調査中)

死体処理手当てのギャラは五千円なのか遺体は静物なのか
菊池裕『アンダーグラウンド』2004

自立しろと言われてあげたお年玉返してもらう父より五千円
山川藍『いらっしゃい』2018

国を出たわたしが送る国を出た人だけに届く五千円札
柳谷あゆみ詩客」2013・08・30


5001~9999円

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