2022年12月22日木曜日

レア鍋日記 2022年

 レア鍋日記とは


■【レア鍋】視神経


2022年12月22日
本日の闇鍋全短歌データ 124,027首

「視神経」って短歌によく使われている気がしていましたが、私の「闇鍋」には3首しかありませんでした。

解体の部品を垂らすケーブルは視神経のごとしも 絡まる
加藤治郎『昏睡のパラダイス』1998

視神経は交叉したまま モノレールの窓に青葉の街暮れてゐる
魚村晋太郎『銀耳』2004

視神経の束をあげたいヘッドライトは夜の湿度を切りひらくだけ
平岡直子『みじかい髪も長い髪も炎』2021

まず、それぞれにすごくビジュアルとしていい歌だ、と感じます。
視神経って普通はあんまり見たことがないものですから、これは目に浮かべるための一般的比喩表現ではなく、感覚的に目に浮かびそうな気がする(特に3首目)、というレベルのビジュアルです。実体験でなく、イメージ体験を喚起する、というか。


「視神経」という言葉からなんとなく、この写真みたいな感じに細かく枝が広がっているものを思い浮かべてしまうんですが、いかがでしょう?
上記の短歌も、少なくとも1首目,2首目はこれみたいです。

そこまで考えて、現物は見たことはない、だから実体験の喚起ではないけど、画像でこういうものを見たかもしれない、だとすると普通の比喩かしらと思えてきてしまいました。

気になって調べてみたら、その結果、確かにそういう画像はありました。

が、おどろいたことに、枝分かれしているのはどうやら血管であり、視神経ではないみたいです。

なんだこれ? 問題発生かしら???
まあでも、詩歌的には、事実より通念、そしてなにより語感やイメージがものをいうのであって、上記の作品を貶めるつもりは毛頭ありません。念のため。

さて、ついでなので、俳句と川柳も探してみました。
俳句は私の「闇鍋」と、現代俳句協会のDBその他大型DBでも探しましたが、一句もありませんでした。

川柳では、「闇鍋」で次の1句を発見。
視神経に一本薔薇の木が混じる
情野千里『川柳作家全集49』
視覚イメージとしては上の方に置いた短歌作品と似た捉え方をしているようです。
「視神経」のイメージ描写として非常に美しく、「視神経」という語のイメージ領域を拡大する作品だと思います。

「おかじょうき」のDBにはナシ。

なお川柳データバンク※には上記情野千里の句のほかに2句ありました。興味がある方はご自分で見てきてください。
※このサイトは、類想句を避けるなどのトラブルを防ぐことを目的の一つとしているようです。また、「無断で利用することは著作権上の例外を除き著作権者の許諾が必要」と書いてあります。それは法律通りです。著作権侵害は特別な場合を除いて親告罪ですから、このサイトに作品を置いてあるということは、無断使用はトラブルになるぞという警告の意味があると思えます。だたその法律なかで例外として「引用」は認められています。情野千里の句は、既に他のサイトでも引用されていて代表作のようですし、「引用」の条件を意識しなが引用させていただきました。

 

■【ニャン鍋】エゴサーチ

2022年10月20日
本日の全短歌データ 123,831首

「エゴサーチ」は2首あった。感触としてはもっとありそうな語。
新しい人の歌の入力が足りないのかも。

エゴサーチにあつらえむきの日に階下ふたり離別の手順を終えて
睦月都 2012年短歌研究新人賞応募作

エゴサーチ+リツイートって死体から髪を抜いてる老婆っぽくない?
伊舎堂仁(出典調査中 作者サイトより)

上記の

エゴサーチ+リツイートって死体から髪を抜いてる老婆っぽくない?
伊舎堂仁(出典調査中 作者サイトより)
をみて、ついでに「リツイート」も調べた。この他に4首発見。

「釜石にいくためにガソリンが欲しい」リツイートできず涙流しぬ
田中濯『氷』

フォロワーがbotと死人で14人 誰に届くこともないリ・ツイート
懶い河獺(出典調査中)

会心のツイートしたあとRT確認しにゆく自意識あわれ
ムラムラと承認欲求湧く夜は褒められツイートRTせり
上記2首 笹公人「詩客」2012-10-12

なお「ツイート」(「リ」なし)は6首あった。

■【レア鍋】フォロワー

フォロワーがbotと死人で14人 誰に届くこともないリ・ツイート
懶い河獺(出典調査中)

を見て、ついでに検索してみたら「フォロワー」はこのほか2首あった。

青空を鳥のかたちに切り抜いて摑む/離れるフォロワーの数
大西久美子『イーハトーブの数式』

陸上部女子限定のグループ名「さくらんなー」はフォロワー多数
千葉聡『短歌は最強アイテム』2017

■【レア鍋】リスニングテスト

2022年10月18日
本日の全短歌データ123,825首

「リスニングテスト」なんてなさそう、と思いながらきまぐれに検索してみたら3首もあった。

リスニングテストが聞こえるアメです「始め」と言ったらなめてください
伊舎堂仁『トントングラム』2014

リスニングテストの漏れる校舎から欧米人の巨大な会話
岡野大嗣「詩客」2017-06-03

君の声思い出してるリスニングテストの問いと問いのあいだに
近江瞬『飛び散れ、水たち』2020


■【レア鍋】ヒメジョオン

2022年8月26日
本日の短歌全データ122,967首


もう誰も月を覚えていない昼はるじおん咲きひめじょおん咲き
佐藤弓生『モーヴ色のあめふる』2015

ヒメジョオン摘む人の誰もいなければ胸の高さに咲く線路脇
田宮智美『にず』2020

折ればほら茎に空洞がないものはヒメジヨヲンよとわが庭の花
永田和宏『置行堀』2021

ありふれた野草で、見た目は地味だけど名前が素敵、というねじれがあるから、もっと詠まれているかと思ったが、意外にも3首だけ。

■【ニャン鍋】スクロール

2022年8月9日
本日の短歌全データ122,966首

スクロールして行く度に果ては来てまた銀紙を噛んだ味だよ
久哲 うたのわH22.10.28

携帯の着信記録スクロールすればひらたく癒されている
江國凛(出典調査中 だいぶまえの「かばん」)

■【ニャン鍋】招き猫

2022年7月9日
本日の短歌全データ 122,622首

招き猫倒れしという写実歌のおそろしければこの花吹雪
藤原龍一郎『19××』1997

招き猫の無表情の爪紅し すぐ分かります分かるはずです
東直子『十階』


なお、俳句と川柳も1句ずつ。

招き猫水中の藻に冬がきて
波多野爽波『骰子』

招き猫は造花ばかりが描いてある
中村冨二『千句集』

■【レア鍋】蓋がない

2022年7月9日
本日の短歌全データ 122,622首

「蓋がない」ということを詠む歌は以下3首でした。
(検索文字列「蓋がな」「蓋のな」「蓋の無」「蓋な」「蓋無」で抽出し無関係なものを取り除いた。)

蓋のない記憶と思ふ 菜の花の瓶詰めにぽんと山の香がして
田村元『北二十二条西七丁目』2012

この海にぴったりとした蓋がないように繋いだ手からさびしい
虫武一俊『羽虫群』

蓋のない深い器に沈みたい無心にならず轆轤をまわす
小野田光『蝶は地下鉄をぬけて』


なお俳句は見つからず、川柳は1句ありました。

蓋のない顔で笑ってくれました 徳永政二


■【ナイ鍋】社会の窓

いや、無いだろうとは思いましたが、俳句で見かけたので、負けたくない、とも思って探したら、やっぱ短歌のほうは無かった。(笑)
難しい題材ですが、うまく生かした歌があったら教えてください。
2022年6月23日

俳句
テキ屋きて社会の窓からいわし雲 
大沼正明『異執』2013

「ズボンの前」みたいな言い方はどうかな。
1首発見。

へこをせし昔男は知らざらむズボンに前あきのファスナーあるを
浜田蝶二郎『からだまだ在る』1997


「チャックが開いている」的なことを詠む歌を探してみました。
「チャクラ」だ。けど、なんだか近い!

「だばだばにあなた漏れてる気をつけて胸のチャクラが開きっぱなしよ」
法橋ひらく『それはとても速くて永い』2015

チャックが開いた、けど背中のだった……。

唐突に下の名前で呼ばれたら背中のチャックが開いてしまうよ
岩倉曰『harako』2022


歌はすてきだけど、これも違いますね。

きみの背の感触残るわが背骨 チャックを開くように別れき
田中槐(出典調査中)

なお、英語ではXYZと言うことがあるらしいですよ。

「eXamine Your Zipper(チャックを確認しなさい)」の略だとか。ほんとかな。

あと、社会転じて「理科の窓」とかいう人もいるらしい。

■【ワン鍋賞】ぺっちゃんこ

2022年6月21日
本日の闇鍋短歌データ122,733首

日月の球体通り過ぎてゆきぺっちゃんこなり母の死顔
渡辺松男(出典調査中)


なお俳句でも1句発見

駅の裏死んでるバッタぺっちゃんこ
久留島元「詩客」2012-11-16-11863

■【ニャン鍋賞】算段 【レア鍋賞】散弾

2022年4月27日
本日の闇鍋短歌データ122,432首

「算段」なんて言葉詠まないだろうと思ったが、意外にも2首発見。

この病気では死にませんよといふなれば生きる算段をせねばならず
斎藤史『秋天瑠璃』
 
水撒きのホースより虹 乙女らは恋の算段 葉陰に揺れて
村田マチネ『バベル』

一方、「散弾」はけっこうありそうだと思ったが、さほどではなく、3首だった。

やわらかな風の散弾てのひらに五つ集めて風に戻した
木下龍也『つむじ風、ここにあります』2013

車中泊の朝に迎える散弾を喰らったような窓の凍結
中山俊一『水銀飛行』

夏の柳の枝は太くて木洩れ日が散弾みたいに頬辺を差す
久真八志「かばん」2013・9

■【ワン鍋賞】蹴っ飛ばす

2022年4月21日
闇鍋短歌データ121602

春は何か蹴っ飛ばすようにして起き上がり前に進むような季節だよな、と思い。
「蹴っ飛ばす」「蹴り飛ばす」を、ひらがな表記等も含めて検索したら、なぜかたったの1首しかありませんでした。

先生に蹴り飛ばされて伏す床にトイレスリッパ散らばっていく
鳥居『キリンの子』2016

珍しい語でもないのになんで少ないのかしら。

2022年12月追記
すみません。「蹴飛ばす」「蹴とばす」なら16首もありました。


■【ワン鍋賞】四捨五入

2022年4月17日
闇鍋短歌データ121602

年齢を四捨五入で繰り上げて憂えるような馬鹿を死刑に
枡野浩一(出典調査中)

■【ニャン鍋賞】うぬぼれ

2022年4月12日
闇鍋短歌データ121602

うち「うぬぼれ」or「自惚」という文字列を含む歌は以下の2首だけでした。

僕たちはうぬぼれ屋だからうぬぼれを売る 売り上げでひんしゅくを買う
宇都宮敦 朝日新聞夕刊2011年5月24

自惚の錯覚すなはち恋だから
 子供は要らない
  ザマア見やがれ
ルビ:自惚【うぬぼれ】
夢野久作『猟奇歌』(「夢野久作全集3」ちくま文庫1992)

■【ニャン鍋賞】大女

2022年3月30日
闇鍋短歌データ121568

うち「大女」(かな表記を含めて検索)を含む歌は2首でした。
「大きな女」など他の表現は対象外。

大女死すごと大き物語死して世界は荒涼とせり
松村由利子『大女伝説』2010

秋の夜を大女(おおおんな)となり怒りおり重たき足に月光を踏み
梅内美華子 『若月祭(みかづきさい)』1999



なお「大男」は以下5首発見。

大男が梅雨明けちかき街に来てそらの滑車をまはしはじめる
永井陽子『ふしぎな楽器』1986
チョコレートバーほどの電話取り出して大男話すいたくやさしく
米川千嘉子『一葉の井戸』2001
大男の黙狂ひとり暁【あかとき】の野辺に世界を支えて佇てり
山田消児『アンドロイドK』1999
ご近所の歯医者へ来たりて大男の太きおゆびに歯を抜かれたり
花鳥佰『しづかに逆立をする』2013
大男の欠伸チェロの黒ケース光は肩でうけとめるしかなく
東直子「短歌研究」201010
 

■【ナイ鍋】おっちょこちょい

2022年3月22日
闇鍋短歌データ121526首
「おっちょこちょい」という語を詠み込んだ歌なし。

5月17日追記「そそっかしい」を2首発見。
頬に一針縫いあとのあるきみのそのそそっかしさを海に還すね
東直子「かばん」200208
そそかしい走禽即死 空涙そおっと注ぐ蘇生せぬよう
高柳蕗子『あたしごっこ』

■【ワン鍋賞】粗忽

2022年3月22日

原因をつきつめてのちはかなきはつねとおもえば粗忽の釘ぞ
藤原龍一郎『切断』 

■【ニャン鍋賞】あんぽんたん

2022年3月22日

あぽぉーあぽぉーあんぽんたんのあっぽぉぱあでんじゃあでりしゃすAPPLE-PIE
神﨑ハルミ
ピコ太郎よりはるか昔の作品。発表時期は定かではないのですが、作者がこの筆名を使っていたのははるか昔だから。)

青中の水中のああ自在片安本丹の背鰭峻烈
ルビ:青中【あおなか】、水中【みずなか】、安本丹【あんぽんたん】
依田仁美『異端陣』2005

■【レア鍋賞】まぬけ

2022年3月22日

うたうならデスクの隅の海綿のようにまぬけに孔をひらいて
佐藤弓生

あほまぬけ あほまぬけとぞビラ数へあほまで終りぬ九十三枚
※下線部分は傍点
安田純生『白珠』

護岸工事の音もまぬけな月曜日へたくそだった今日の仮病を
法橋ひらく『それはとても速くて永い』2015

■【ナイ鍋】おちおち

2022年3月17日
闇鍋短歌データ121101首
「不安でおちおち眠れない」などの「おちおち」を使った歌は、今のところ1首も収録されていない。

■【ワン鍋賞】てんてこ舞い

2022年2月13日
闇鍋短歌データ120980首

ちかごろ耳にしなくなったコトバ。
短歌に使われることも少なそうだが、どうだろうと思って探したら、1首だけ発見。

オリジナルのダンスを華麗に踊りますてんてこ舞いと呼ばれております
久保芳美「かばん新人特集号」2010・12

■【レア鍋賞】~をあなたに

2022年2月11日
闇鍋短歌データ120980首

「忘れな草をあなたに」という歌があるけれど、そういうふうに末尾が「~をあなたに」である短歌ってどうかなあと思って探してみたら3首あった。

うつくしき雨降り込めるフィルムの発火してゆくさまをあなたに
古谷空色(出典調査中:だいぶ前の「かばん」誌)

いつかまた逢えなくなるねと天界のブラックリストと野望をあなたに
瀬戸夏子『そのなかに心臓をつくって住みなさい』2012

かばんにはもれなく風、それももう目も眩む熱風をあなたに
鈴木智子『砂漠の庭師』2018

「~をあなたに贈る」など、「~をあなたに」が末尾でない例ならもっとありますが、すごく違う感じです。

■【ワン・ニャン・レア鍋賞】「○行」

2022年2月9日
闇鍋短歌データ120980首
うち「あ行」2首
  「か行」3首
  「さ行」3首
  「た行」1首
  「ら行」1首
  「ぱ行」1首

うへへへと忘却の彼方でカクレンボああお下劣なおまえのあ行
久保芳美『金襴緞子』金欄椴子

ネアンデルタールの水墨画のようなア行音 永遠といいaeonという
井辻朱美『クラウド』2014

かき・くるみ・きのこ・くり・くこ・こめ・かうじ秋はカ行の稔り豊けし
丹波真人『花顔』

名字にはたぶんカ行が似合うひと日射に耐えていたまっ白く
柳谷あゆみ『ダマスカスへ行く 前・後・途中』2012

炎暑の車道が膨らみそうでわたしには月の世界とカ行のひとが
柳谷あゆみ『ダマスカスへ行く 前・後・途中』2012

サ行音ふるわすように降る雨の中遠ざかりゆく君の傘
俵万智『サラダ記念日』

そら、スカイ、スペース、砂漠 サ行とはとても広くて一色なもの
松木秀『RERA』

サ行音爽やかなものと感受せぬ金がざらざら一首を読めり
ルビ;金【キム】
大口玲子(出典調査中)

潮騒のやうなるサ行の訛りかなわたしは寿司も獅子も大好き
ルビ;寿司【すす】 獅子【すす】
逢坂みずき『虹を見つける達人』

崇福寺 正覚寺下 思案橋 サ行の音の響きあふ町
ルビ;音【おん】
三輪良子『木綿の時間』2016

た行しか知らぬ私は「土」と言う あなたのために「好き」の代わりに
大嶋航(出典調査中)

手の中のラ行のひとにさくら散るはんらはんらやあぶなうつし絵
依田仁美『異端陣』2005

ぽんと、ごくふつうの大きさの声で言うとききらめくあなたの「ぱ」行
杉山モナミ 「かばん」202112

「○行」を詠むということは、語感・音感をとらえ、それを読者と共有できる、という強気が必要だ。読者はその強気をうれしく感じる。そういう題材だと思う。


■【ニャン鍋賞】義憤

2022年1月24日
闇鍋短歌データ120240首
うち「義憤」2首

天の川って義憤に似てるひかりの波しゅるるる消えるまで抱きしめる
杉山モナミ「かばん」2019・08

義憤にも似た感情を壜に詰め色とりどりのピクルスにする
小野田光『蝶は地下鉄をぬけて』

■【レア鍋賞】ピースサイン


2022年1月24日
闇鍋短歌データ120240首
うち「ピースサイン」3首

喰ひのこされるまでゐてどうだつたのかザリガニらの鋏のぴいす
平井弘(出典確認中)

うまいこと利き手で鼻をかむひとの空いた片手でするピースサイン
山階基 (出典確認中 風にあたる拾遺2012-2015)

十年後に見て騙されたりしないよう小さめのピースサインにしとく
近江瞬『飛び散れ、水たち』

■【レア鍋賞】ほじる

2022年1月24日
闇鍋短歌データ120240首
うち「ほじる」4首
(「ほじくる」だけなら2首)

憎まれたグリンピースはほじくられチキンライスは冷めていったの
久保芳美『金襴緞子』

まずすべてほじくってから食べたきを西瓜の種は奥にまだある
染野太朗『人魚』2016

レーズンパンのレーズンすべてほじりだしおまえをただのパンにしてやる
戸田響子『煮汁』

相部屋の感想聞けば「鼻くそがほじれないんだ。鼻くそたまる」
俵万智『未来のサイズ』

■【レア鍋賞】くずもち

2022年1月19日
闇鍋短歌データ120240首
うち「くずもち」4首

橋を渡る娘たちはみな髪をまとめくずもちの中のあんこのごとし
小川佳世子『ゆきふる』2016
   くずまんじゅうのことかな?

一折のくず餅下げて会いにゆく そうですねえと答えるために
東直子『青卵』2001

み墓べに今日はまゐりぬ亀井戸の葛餅買ひて帰り来にけり
古泉千樫

君の好きな葛餅と颯の好きなウルトラマン持ち 361号室へ
永田淳『竜骨(キール)もて』2020

2022年12月6日火曜日

随時更新 ちょびコレ 2022・12

 ここは、日々なんとなく見つけたちょっとした短歌コレクションの置き場です。

ミニアンソロジーにしたいけれど、そこまでの歌数がない。でも、レア鍋賞ほど少ないわけでもない……。

そんな感じのときここに書いておきます。


ちょびコレは10月11月おやすみしました。

■聞き間違い、読み間違いなど 2022.12

「○○を✕✕と読み間違う」的なネタ、もっとあると思ったが、検索が難しい。
「読み間違う」などと書かない言い回しをしているものがあると思う。
とりあえず見つけたものから少し紹介しておきます。

さらさらをさよならと読みまちがうを春愁という 眩しき液晶
ルビ:眩【まぶ】
神﨑ハルミ(出典調査中)

注文を聞き間違えた店員がエプロンに飼うアリスのうさぎ
本多忠義『禁忌色』

受験、受験、受験と言いすぎ時々は「受験を受ける」と言い間違える
千葉聡『飛び跳ねる教室』

人間臭いを人間魚雷と聞きまちがえて島の漁師が戦争をする
山下一路『スーパーアメフラシ』2017

何シンドロームよ無駄に息を吐き「ハリソン・フォード」を言いまちがえる
山崎聡子『手のひらの花火』2012