「ミニアンソロジー」というほどの歌数はなく、
「レア鍋賞」ほど少なくもない……、
そんな、ちょっとした短歌コレクションです。
■特殊算
今回は、旅人算、植木算などの特殊算を詠み込んだ歌のコレクション。
調べたらけっこういろいろあった。
流水算、鶴亀算、植木算、旅人算、仕事算、和差算、売買算
時計算、集合算、日暦算、覆面算、虫食い算
および、その仮名表記(ふくめん算など)
および、その仮名表記(ふくめん算など)
本日の闇鍋短歌データ 総数約131,500首
うち、特殊算名を含む歌は以下の10首でした。
【旅人算】
旅人算こころみる冬の室内に思うわたしのあしの速さを
柳谷あゆみ 『ダマスカスへ行く 前・後・途中』2012
柳谷あゆみ 『ダマスカスへ行く 前・後・途中』2012
旅人算ノートに途中まで解かれ地球のどこかが凍えておりぬ
鶴田伊津『夜のボート』2017
思い出す旅人算のたびびとは足まっすぐな男の子たち
江戸雪『椿夜』2001
【流水算】
まづ脛より青年となる少年の真夏、流水算ひややかに
塚本邦雄『綠色研究』1965
ていねいに図を描くのみの答案に流水算の舟すれちがふ
光森裕樹 『鈴を産むひばり』2010
光森裕樹 『鈴を産むひばり』2010
どの場所からでも流されてしまう生活は下りの速い流水算
山下一路『スーパーアメフラシ』2017
【鶴亀算】
タートルはトータル何匹いるでしょう鶴亀算は足がいっぱい
岡田美幸『現代鳥獣戯画』2019
わからないもののひとつに鶴亀算なにことさらに脚を数える
山中もとひ 『〈理想語辞典〉』2015
山中もとひ 『〈理想語辞典〉』2015
【植木算】
植木算は木を描きながら解くのだと子は言う枝に葉をつけながら
広坂早苗『未明の窓』
〈虫くい算〉さわやかにわが脳葉に展がりゆける火の秋の空
永田和宏『メビウスの地平』
★俳句も発見
蝶や果つなべて旅人算の外に
ルビ:外(げ)
九堂夜想「LOTUS」(第41号)
勝手に、架空の特殊算を作って一首詠む、という題詠やったらおもしろそうだなあ。
恋愛算 不倫算 風邪引き算、ダイエット算、鼻毛算、密室算、激辛算なんちゃって。
高柳蕗子 2025・3・25