「ミニアンソロジー」というほどの歌数はなく、
「レア鍋賞」ほど少なくもない……、
そんな、ちょっとした短歌コレクションです。
そんな、ちょっとした短歌コレクションです。
■◯、◯、◯……
今回は「◯、◯、◯」というような3連以上の畳み掛けを含む歌を集めてみました。
私の近現代短歌データベース「闇鍋」に本日は短歌が約13万首入っています。うち「◯、◯、◯」のような畳み掛けを含む歌は37首ほどありました。少しピックアップします。・「、」を挟まないで畳み掛ける例は検索しづらいため、たまたま見つけたものを拾いました。
・「◯」は1文字としますが、2文字が交じるのも一部許容しました。
・「た、た、たいへんだ」のようなものは除外しました。・順不同です。
自然がずんずん體のなかを通過する――山、山、山ルビ:體【からだ】前田夕暮『水源地帯』1932
・「◯」は1文字としますが、2文字が交じるのも一部許容しました。
・「た、た、たいへんだ」のようなものは除外しました。
自然がずんずん體のなかを通過する――山、山、山
ルビ:體【からだ】
前田夕暮『水源地帯』1932
この歌が、私のデータベースの中で一番古い「◯、◯、◯」の用例です。
夏、夏、夏、露西亜ざかひの黄の蕋の花じやがいもの大ぶりの雨
北原白秋『海阪』1949
壁、壁、壁しづけさまさりおさへられおさへられつつつかれてゐるも
加藤克巳『螺旋階段』
家、家、家ってなんだろう電気、ガス、水道、物が詰まって、人、家族
花山周子『林立』
前を行く首、首、首に汗は照り博労町をデモは過ぎゆく
吉川宏志『石蓮花』
先波を越ゆる後波、波、波、波、無量の波が陸に迫りく
ルビ:先波【さきなみ】 後波【あとなみ】
高野公彦『天平の水煙』
そとはあめ、雨、雨、氷雨、皮膚に皮膚よせて樹木は情を知りそむ佐藤弓生『薄い街』
額縁店の壁に我、我、我、我、我、我を充てよと額のひしめく
真野少『unknown』
エスカレーターにせり上がりくる顔顔顔 朝のホームは魔術師である
杉崎恒夫『パン屋のパンセ』
この例は「、」がありませんが、同類とみなして混ぜておきます。
空、空、空 ラウインゲンの空青く午後十時半くれてゆくなり田中徹尾『和の青空』2025
僕たちの運ぶ辞典の頁、頁、膨らみだして港が近い
千種創一『砂丘律』2015
2回しか畳み掛けてないけどなんだか3回ぶんインパクトあり。
虹、虹、虹、送電線は彼方から彼方の虹を送りつづける
ルビ:彼方【かなた】
早坂類『風の吹く日にベランダにいる』
ダウンライトに後ろをさらす首、首、首、ほの白くて折れやすそうな
法橋ひらく『それはとても速くて永い』2015
シャガールの青青青瞳孔を見開いたまま一生を見た
天道なお『NR』2013
尾、頭無し、尾、頭無し、尾、頭無し、尾、頭無し、ねむい教室
加藤治郎『噴水塔』
全体として、特にコメントの必要はなさそうで、どれも一定の効果を出しているように思います。
加藤治郎の「尾、頭無し……」のように意外なものの畳み掛けがもっとあっていい、と思いました。(注文の多い読者)
今回はここまで。
「◯、◯」を探したら、「花鳩豆…」的な列挙型の畳み掛けの歌をたくさん見つけてしまいました。
すごく面白いけれど、多いので、分類しながら取捨選択するのが大変そうなので、今回は見送ります。
いつか機会があれば・・・。
高柳蕗子
2025年3月24日
夏、夏、夏、露西亜ざかひの黄の蕋の花じやがいもの大ぶりの雨
北原白秋『海阪』1949
北原白秋『海阪』1949
壁、壁、壁しづけさまさりおさへられおさへられつつつかれてゐるも
加藤克巳『螺旋階段』
加藤克巳『螺旋階段』
家、家、家ってなんだろう電気、ガス、水道、物が詰まって、人、家族
花山周子『林立』
花山周子『林立』
前を行く首、首、首に汗は照り博労町をデモは過ぎゆく
吉川宏志『石蓮花』
吉川宏志『石蓮花』
先波を越ゆる後波、波、波、波、無量の波が陸に迫りく
ルビ:先波【さきなみ】 後波【あとなみ】
高野公彦『天平の水煙』
ルビ:先波【さきなみ】 後波【あとなみ】
高野公彦『天平の水煙』
そとはあめ、雨、雨、氷雨、皮膚に皮膚よせて樹木は情を知りそむ
佐藤弓生『薄い街』
額縁店の壁に我、我、我、我、我、我を充てよと額のひしめく
真野少『unknown』
真野少『unknown』
エスカレーターにせり上がりくる顔顔顔 朝のホームは魔術師である
杉崎恒夫『パン屋のパンセ』
この例は「、」がありませんが、同類とみなして混ぜておきます。
杉崎恒夫『パン屋のパンセ』
この例は「、」がありませんが、同類とみなして混ぜておきます。
空、空、空 ラウインゲンの空青く午後十時半くれてゆくなり
田中徹尾『和の青空』2025
僕たちの運ぶ辞典の頁、頁、膨らみだして港が近い
千種創一『砂丘律』2015
2回しか畳み掛けてないけどなんだか3回ぶんインパクトあり。
千種創一『砂丘律』2015
2回しか畳み掛けてないけどなんだか3回ぶんインパクトあり。
虹、虹、虹、送電線は彼方から彼方の虹を送りつづける
ルビ:彼方【かなた】
早坂類『風の吹く日にベランダにいる』
ルビ:彼方【かなた】
早坂類『風の吹く日にベランダにいる』
ダウンライトに後ろをさらす首、首、首、ほの白くて折れやすそうな
法橋ひらく『それはとても速くて永い』2015
法橋ひらく『それはとても速くて永い』2015
シャガールの青青青瞳孔を見開いたまま一生を見た
天道なお『NR』2013
加藤治郎の「尾、頭無し……」のように意外なものの畳み掛けがもっとあっていい、と思いました。(注文の多い読者)
天道なお『NR』2013
尾、頭無し、尾、頭無し、尾、頭無し、尾、頭無し、ねむい教室
加藤治郎『噴水塔』
全体として、特にコメントの必要はなさそうで、どれも一定の効果を出しているように思います。
加藤治郎『噴水塔』
全体として、特にコメントの必要はなさそうで、どれも一定の効果を出しているように思います。
加藤治郎の「尾、頭無し……」のように意外なものの畳み掛けがもっとあっていい、と思いました。(注文の多い読者)
今回はここまで。
「◯、◯」を探したら、「花鳩豆…」的な列挙型の畳み掛けの歌をたくさん見つけてしまいました。
すごく面白いけれど、多いので、分類しながら取捨選択するのが大変そうなので、今回は見送ります。
いつか機会があれば・・・。
すごく面白いけれど、多いので、分類しながら取捨選択するのが大変そうなので、今回は見送ります。
いつか機会があれば・・・。
高柳蕗子
2025年3月24日
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