2020年7月1日水曜日

青004 コレクション 青+淋しい 

「青」と「淋しい」は好まれる組み合わせだ。


両方を含む歌はものすごくたくさんあり、まだまだいっぱい詠まれるだろう。
単独で取り上げている他にも紹介したい歌がある。
現時点で知る限りのなかから、これは、と思う歌をピックアップした。

ここより見やすい「ふれたん」にコーナーを作って随時更新することにしました。

山みちにこんなさびしい顔をして夏草のあをに照らされてゐる
前川佐美雄『植物祭』1930年

あけつぱなしの手は寂しくてならぬ。青空よ、沁み込め
前田夕暮『水源地帯』1932年

病身の眼ばかり青き火になして空翔ける鳥のさびしさとなり
小玉朝子『黄薔薇』1932年

濫觴にかかる寂しき青ありき湖見しのちの寒き薄荷酒
ルビ:湖(うみ)
安永蕗子『魚愁』1962年

花ことば「さびしい」という青い花一輪胸に咲かせて眠る
俵万智『かぜのてのひら』1991年

舞はぬ日の扇さびしも夢に来てみづからひらくその身紺青
水原紫苑『うたうら』1992年

昭和ののちとふ無辺の青のさびしさをこゑ上げながらゆく凧
ルビ:凧(いかのぼり)
米川千嘉子『たましひに着る服なくて』1998年

あおぞらからひとつまみずつのさびしさを絞りだしたる桜のさかずき
井辻朱美『クラウド』2014年

耳たぶに低く唸れる青い石よなんてさびしい人なのだろう
柳谷あゆみ『ダマスカスへ行く 前・後・途中』2012年

なぜここに青いすべり台があるのだろう こんなさびしい雪の野原に
宮地しもん『f字孔』2014年

ひとりきてひとりたたずむ硝子戸の中の青磁の色のさびしさ
湯川秀樹『湯川秀樹歌文集』2016年

以上
2020・7・1







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