となく目に入ります。
すごく多いというわけでもないし、いろいろな組み合わせがあって当たり前なわけで、何の不思議もない。
ただ、この感じ。不思議なのではなくて、逆に「なぜか想定外ではない」感じです。
なぜか「星+骨」の取り合わせは〝あり〟だと感じられる。
「星」と「骨」のイメージを結ぶ細い連想脈があると思われます。
なんの連想脈かはわからないけれど、以下に、見つけた歌を全部アップしておきます。
なお、本日の闇鍋全データは 163046歌句
うち短歌は 116415首 です。
2021年9月23日追記
以下の記述は8月24日のものですが、「骨」と「星」という組み合わせが「多い」のかどうか気になったので、検証してみたところ、数字としては多くも少なくもありませんでした。
ただし、この数字については興味深い点もあります。
ただし、この数字については興味深い点もあります。
■「星+骨」を詠み込んだ短歌
10首ありました。
海という藍に揺らるる長大な椎骨のさき進化の星くず
井辻朱美『水族』1986
星まみれの空があなたを奪っても私はきっと骨のない傘
笹井宏之『てんとろり』2011
鈴がなり河骨咲きぬおもひでになるまえのここ水惑星に
渡辺松男『きなげつの魚』2014
人骨の宝庫とならむこの星を思ふことあり雨後の蝉声
高野公彦『水苑』2000
ふえてくる星星のした人形のつめたい肋骨探っておりぬ
入谷いずみ『海の人形』2005(救命訓練四首のなかのひとつ)
水の星に真白き夢を遺しゆく身の奥に立つ骨というもの
岡貴子『闇のつばさに』2002
星ぞらに慟哭は充ち抛られし一ヶの骨のかく晒されて
桜木由香『連祷』2011
たたずみて人骨をみしやすらぎのいはむかたなし天の星流る
葛原妙子『朱霊』1970
げに晴夜 うしろ山の墓穴に骨片星と交信せり
葛原妙子『鷹の井戸』1977
宵の星古墳の上にあらはれて一ひらの骨ありと示しき
葛原妙子『をがたま』(未刊歌集:全歌集に収録)
★俳句も2句発見!
尾てい骨で坐る赤ん坊の星祭
榎本冬一郎
鎖骨から淋しくなりぬ星祭
森須蘭
葛原妙子を3首も見つけたのは偶然なのか、葛原の好みかはわからない。
が、他の人の歌を見ても「星+骨」という組み合わせは意外でなく、妙にしっくりきていないか。
身体部位を示す語は何にでも結びつくものですが、「星」とのこのしっくり感は何でしょうね。
軽々しく推測を言いたくないので、ここには何も書かずにおきます。
3首ありました。少ないけれど、ちゃんと詠まれていました。
つひぞ肉体は国家にむかはざりまづ満天星の葉より冷えゆく
西王燦『バードランドの子守歌』1982
信じないことを誓って星は朝ねむる葡萄の肉色の空
穂村弘『シンジケート』1990
恋びとのうそと故郷の羊肉が星の散らばる新居に届く
雪舟えま『たんぽるぽる』2011
15首もありました。あらま、けっこうあるじゃないの。
血の色の星の影さす入海(いりうみ)に黑き帆の舟つと入り來たる
血の壁がはがれくる昼ほとほとと星に獣のあしおと満ちる
佐藤弓生『眼鏡屋は夕ぐれのため』2006
生き物のいない星では出血が稀れだから包帯が足りなくて
我妻俊樹 @agtm_bot(作者のTwitterアカウント)
星月夜夜汽車走れり血走れり吉か不吉か近き夜明けは
佐佐木幸綱(出典調査中)
星空を楽譜だなんていう君の首の血を吸う蚊を見つめおり
江田浩司(出典調査中)
血のほかのなにかながれぬ 星月夜 眠りのふかき汝が掌を嗅げば
辰巳泰子(出典調査中)
聞かされる低血圧の弊害を星占いの次に信じる
俵万智『サラダ記念日』1987
他人の血流るる街を帰り来て「坊やは火星に亡命するわよ」
西王燦『バードランドの子守歌』
火星人から噴き出した血がどれも緑であるのは事実ではない
本多忠義『禁忌色』2005
星雲の途方もなさを思うとき血の通う身の惑いなど虚無
柴田瞳(出典調査中)
星もよく見えない眼だけど別にいい この眼は証、この血統の
後藤葉菜「かばん新人特集号」2015/3
泥酔の吾の瞳は澄んでいて喀血すれば星のあかるさ
江國凛(出典不明だがおそらくだいぶ前の「かばん」誌)
★俳句は1句発見
吸血鬼目覚めてゐたり流れ星
黒川俊郎「詩客」2012-10-26
いかがでしょう?
あなたも一首、または1句、詠んでみませんか?
本日はここまで。
身体部位を示す語は何にでも結びつくものですが、「星」とのこのしっくり感は何でしょうね。
軽々しく推測を言いたくないので、ここには何も書かずにおきます。
■じゃあ「星+肉」は?
3首ありました。少ないけれど、ちゃんと詠まれていました。
つひぞ肉体は国家にむかはざりまづ満天星の葉より冷えゆく
西王燦『バードランドの子守歌』1982
信じないことを誓って星は朝ねむる葡萄の肉色の空
穂村弘『シンジケート』1990
恋びとのうそと故郷の羊肉が星の散らばる新居に届く
雪舟えま『たんぽるぽる』2011
■じゃあ「星+血」は?
15首もありました。あらま、けっこうあるじゃないの。
最初は「星+骨」が目に入ったわけですが、それよりも「星+血」のほうが多かったんですね。
(「星」が「身体」と何らかの縁があることを嗅ぎ取ることができたのは、イメージ領域の探索経験によるカンだったけれど、ちゃんと検証することでもっとソナーの精度が増すのよね。)
血の色の星の影さす入海(いりうみ)に黑き帆の舟つと入り來たる
ルビ:入海【いりうみ】
森鴎外「明星」1908/1
てのひらにそれから汗にふたつから星のかたちの血が溢れてる
瀬戸夏子『かわいい海とかわいくない海 end,』2016
輸血の一滴一滴の星まもりつつつくづくきみは生きてゐてくれ
渡辺松男『雨(ふ)る』2016
銀碗は人血羮を盛るによしこの惑星にゐてなに惑ふ
塚本邦雄「短歌」1986/2 人血羮
てのひらにそれから汗にふたつから星のかたちの血が溢れてる
瀬戸夏子『かわいい海とかわいくない海 end,』2016
輸血の一滴一滴の星まもりつつつくづくきみは生きてゐてくれ
渡辺松男『雨(ふ)る』2016
銀碗は人血羮を盛るによしこの惑星にゐてなに惑ふ
塚本邦雄「短歌」1986/2 人血羮
血の壁がはがれくる昼ほとほとと星に獣のあしおと満ちる
佐藤弓生『眼鏡屋は夕ぐれのため』2006
生き物のいない星では出血が稀れだから包帯が足りなくて
我妻俊樹 @agtm_bot(作者のTwitterアカウント)
星月夜夜汽車走れり血走れり吉か不吉か近き夜明けは
佐佐木幸綱(出典調査中)
星空を楽譜だなんていう君の首の血を吸う蚊を見つめおり
江田浩司(出典調査中)
血のほかのなにかながれぬ 星月夜 眠りのふかき汝が掌を嗅げば
辰巳泰子(出典調査中)
聞かされる低血圧の弊害を星占いの次に信じる
俵万智『サラダ記念日』1987
他人の血流るる街を帰り来て「坊やは火星に亡命するわよ」
西王燦『バードランドの子守歌』
火星人から噴き出した血がどれも緑であるのは事実ではない
本多忠義『禁忌色』2005
星雲の途方もなさを思うとき血の通う身の惑いなど虚無
柴田瞳(出典調査中)
星もよく見えない眼だけど別にいい この眼は証、この血統の
後藤葉菜「かばん新人特集号」2015/3
泥酔の吾の瞳は澄んでいて喀血すれば星のあかるさ
江國凛(出典不明だがおそらくだいぶ前の「かばん」誌)
★俳句は1句発見
吸血鬼目覚めてゐたり流れ星
黒川俊郎「詩客」2012-10-26
いかがでしょう?
あなたも一首、または1句、詠んでみませんか?
本日はここまで。
追記
上にも書きましたが、
ぜひ御覧ください。