先日、「星」と「骨」「血」「肉」の組み合わせに注目してみたのですが、
それを書きながら、
「星」との組み合わせという切り口だけでなく、人体を構成する要素である「骨」「血」「肉」が短歌にどのぐらい使われていて、他の要素との結びつきはどうなのか、
という検証をすべきではないか、と思えてきました。
数値でできることはさっさとやっちゃいました。
あとから続編を書き足していくつもりです。
■短歌に骨・血・肉を詠み込む割合
単位はなんだか原始的ですが%です。(もっとかっこいい統計の方法を使えればいいのですが、私にはよくわからないし、さほど厳密な話ではなく、ざっと比べるだけで用が足りますし。)
ご覧の通り、「骨」「血」「肉」の頻度はそう変わらず、どれもまあ200首あれば1、2首あるか、という高確率で用いられています。
歌の題材として、かなり重要なものと言えます。
■「骨+?」
では、他の要素とのセットではどうなのか。
このグラフの見方はちょっとむずかしいのですが、
例えばグラフのいちばん上の
「骨28首/海3463首 0.81%」
とは、
「海」という語を詠み込んだ歌は3463首ある。
その中に「骨」を含む歌は28首あり、それは「海」の歌の0.81%にあたる。
ということを意味します。
「海と骨」といえば「秋の暮大魚の骨を海が引く」(西東三鬼)だけど俳句だ…。
セット要素は、海、空などの基本的要素に加えて、人工物として「電車・列車」、地名として「東京」、抽象的なものとして「夢」なども加えてみました。
※「東京」は385首、「電車・列車」も637首しかなかったので、統計としてはあまり信用できません。
どういう話題でも「骨」が出て来ているらしくて面白い。
数が多いので今日はできません。すこしずつまとめたいと思います。
今日は、希少価値という意味で、骨率の少ない「夢」と「電車・列車」から1首ずつ紹介します。
肩甲骨だって翼の夢をみる あなたはなにをあざけりますか
虫武一俊『羽虫群』
遠くみゆる鉄橋を電車過ぐるなり暮れゆけば骨笛のやうなる電車
鎌倉千和『薔薇感覚』
■「血+?」
2番目の「青」の歌(手抜きして「青」という字を含む歌だけ抽出。靑、蒼、あお、あをなどの異なる表記は含みません。)は、3千首を超えていますから、その1%近くに「血」が詠み込まれているのは、なんとなく気になります。どんな歌なんだろう?
いやいや、それはこんどのお楽しみ。
ここでは希少な「街・都」と「雨」から1首ずつあげておきます。
(希少だけど歌数がけっこうあって、選ぶのがつらい……。岸上大作の超有名な歌を避けて…これいかが?)
霧雨に洗わせている血の眼 薬のように言葉を吐くな
二三川練『惑星ジンタ』2018
砂というよりも乾きの降る街を帰れば鼻に血の熱さかな
千種創一『砂丘律』2015
■「肉+?」
全体の0.6%に詠まれている「肉」ですが、今回設けたセット要素はどうもハズレみたいで、なんだか少なめです。大ヒットするような要素がきっとあるのでしょう。
気になるので、ちょっと追加で調べてみました。が、
「夜」34/6810:0.5%
「春」13/3842:0.34%
「夏」15/2929:0.51%
「秋」10/2588:0.39%
と、空振りばっかりでした。
時間のある時に腰を据えてやらなきゃだめみたいです。
ここではトップの「光」との組み合わせがちょっと気になりますね。光と肉……。
でも、今日は、特に希少な「街・都」と「電車・列車」から1首ずつにしておきます。
冬の街あるいてゆけば増強された筋肉みたいなダウンジャケット
永井祐『広い世界と2や8や7』2020
昼の列車に暖房ゆるくかよひつつ時間の果肉ならんか人は
小島ゆかり『憂春』2005
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