2022年6月27日月曜日

ちょびコレ13 飄

 「ちょびコレ」とは、

「ミニアンソロジー」というほどの歌数はなく、


「レア鍋賞」ほど少なくもない……、
そんな、ちょっとした短歌コレクションです。

(以前は「随時更新」として、いくつかまとめていましたが、
いま、1テーマ1ページの方式に移行しています。)

■ 飄

「飄々」「飄然」「飄逸」などの「飄」の字がなんとなく好き。

このブログの「ひょーたん」「ひょー」は、「評論」の「評」を意識したものでしたが、これからは「飄」もブレンドしようかしら。

「飄」「ひょうひょう」「へうへう」の3つのテキストで検索したところ、13首の短歌を見つけました。

(本日の短歌全データ約12万3千首)
そこから少し拾います。


ただ一路風飄としてそらを行くちひさき雲らむらがりてゆく
若山牧水『海の声』1908

その名さへ忘られし頃/飄然とふるさとに来て/咳せし男
ルビ:飄然【へうぜん】 咳【せき】
石川啄木『一握の砂』

月夜よし二つ瓢の青瓢あらへうへうと見つつおもしろ
北原白秋『白南風』

枯れ枯れの唐黍の秀に雀ゐてひょうひょうと遠し日の暮の風
北原白秋『雀の卵』1921

蛇座とはへびの脱けがらひょうひょうと吹かれて暗き星のつらなり
杉崎恒夫「かばん」1994・1

ひょうひょうと棺の中に納まりてオルガスムスを夢見る卵
江田浩司(出典調査中)

屍を埋めた場所に夜が来る飄々として地図にない街
永井陽子『葦牙』1973


かなで書く「ひょうひょう」と「へうへう」の語感が少し違っておもしろい。

まだ「この言葉ならでは」的なものができてないかも。つまり、詠まれたりない感じがする。


2022・6・27

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