「ミニアンソロジー」というほどの歌数はなく、「レア鍋賞」ほど少なくもない……、
そんな、ちょっとした短歌コレクションです。
そんな、ちょっとした短歌コレクションです。
太郎と次郎
誰しもがなにかの広告塔になる 太郎は家電 治郎は菓子屋
土井礼一郎「かばん」2023年12月号
水もどり風もどりたり蛙田の太郎どぜう田の次郎やいづこ
平井弘『振りまはした花のやうに』
太郎次郎は一歩世界を変えなむか風よ風よと鯉泳ぐ空
三枝昻之(出典調査中)
太郎次郎三郎四郎泣いていたかもしれなくて山の道行く
東直子『十階』
次郎子に乳あたふれば寄りて来し太郎子ははや寝息たてをり
秋山佐和子『空に響る樹々』
ディスク・ジョッキー流れて行かん低き町 太郎の妻あり次郎の妻あり
前田透『煙樹』
太郎次郎といえば、三好達治の詩
雪
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。
この太郎次郎は、太郎次郎三郎四郎……→「すべての人」の屋根に雪が降る、
という意味あいだと思います。
しかし、「太郎次郎」には、他の詩的可能性がある。
「太郎」と「次郎」といえば普通は兄弟。
その二者の関係、仲良く切磋琢磨して育つ者、微妙な序列、年の差、家の中の役割など、注目点はいろいろありそう。
まだまだこれからの題材だと思います。
その二者の関係、仲良く切磋琢磨して育つ者、微妙な序列、年の差、家の中の役割など、注目点はいろいろありそう。
まだまだこれからの題材だと思います。
★セットで詠まれる詩的題材、ちょっと興味出てきました。
「父と母」「赤と青」なんかはすごく詠まれています。
2つのものの対比的な面や、補完しあう面をさまざまに生かして、多く詠まれれば詠まれるほどにそれが進歩する感じでイメージの財産が増えていく。
2つのものの対比的な面や、補完しあう面をさまざまに生かして、多く詠まれれば詠まれるほどにそれが進歩する感じでイメージの財産が増えていく。
そういう意味からも、「太郎と次郎」という題材は、もっと詠まれていいと思います。
2024年2月20日