「ミニアンソロジー」というほどの歌数はなく、
「レア鍋賞」ほど少なくもない……、
そんな、ちょっとした短歌コレクションです。
(以前は「随時更新」として、いくつかまとめていましたが、
いま、1テーマ1ページの方式に移行しています。)
そんな、ちょっとした短歌コレクションです。
(以前は「随時更新」として、いくつかまとめていましたが、
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40
なぜ「40」なのか?たまたま、所属誌「かばん」が40周年をむかえるので、「40」(四〇、四十、四拾、よんじゅう)を含む短歌を探してみようと思った。ただそれだけです。
思いのほか多いので、ありがちな(たとえば「四〇歳になった感慨」みたいな)歌は少なくしました。
ことだまの80bytesは全角で40文字まで空爆無料鈴木有機 「かばん」2003/5
真っ直ぐに尾鰭のばして浮上する鯉の仰角約四十度杉崎恒夫
石鹸がタイルを走りト短調40番に火のつくわたし杉崎恒夫『パン屋のパンセ』 ※モーツァルト 交響曲第40番 ト短調 K. 550
小工場に酸素熔接のひらめき立ち砂町四十町夜ならむとす土屋文明『山谷集』 ※東京都江東区に昔あった地名。今も通りの名として残っている。
ネクタイと海を間違う砂浜の平均気温四十度強笹井宏之『ひとさらい』
少年のしぐさのように吸われゆく四十度ほど左翼を下げて三枝昻之『農鳥』
スプーン一杯に満たざる蜜を集めたる四十日ののちに死ぬとぞ稲葉京子『忘れずあらむ』
四十になっても抱くかと問われつつお好み焼きにタレを塗る刷毛吉川宏志『青蝉』
四十トンあまりの鯨つぎつぎに跳びたる海はしばらくゆらぐ秋葉四郎
満月の四十階のバーに飲む酔ってまだ飲むドライマティーニ佐佐木幸綱
にんげんは地中せいぶつ大江戸線地下四十メートルの六本木駅鈴木良明「詩客」2013-06-28
杉垣をあさり青菜の花をふみ松へ飛びたる四十雀二羽正岡子規『竹の里』
死のきはの猫が嚙みたる指の傷四十日経てあはれなほりぬ小池光『梨の花』
四十年使ひなれたる塗椀に汁盛る朝の夏至の葱の香馬場あき子『あさげゆふげ』
事務所まで戻れば四十円安い愛のスコール駅で飲み干す山川藍『いらっしゃい』
千葉君は四十過ぎてもときどきはT先生に怒られている千葉聡『グラウンドを駆けるモーツァルト』
呑むための器ばかりが増えてゆく四十半ばの白い白い闇ルビ:四十【しじふ】大松達知『ぶどうのことば』
四十路びと面さみしらに歩みよる二月の朝の洎芙藍の花ルビ:面【おも】 洎芙藍【さふらん】北原白秋『桐の花』
2024年4月7日
なぜ「40」なのか?
たまたま、所属誌「かばん」が40周年をむかえるので、
「40」(四〇、四十、四拾、よんじゅう)
を含む短歌を探してみようと思った。ただそれだけです。
思いのほか多いので、ありがちな(たとえば「四〇歳になった感慨」みたいな)歌は少なくしました。
鈴木有機 「かばん」2003/5
真っ直ぐに尾鰭のばして浮上する鯉の仰角約四十度
杉崎恒夫
石鹸がタイルを走りト短調40番に火のつくわたし
杉崎恒夫『パン屋のパンセ』
※モーツァルト 交響曲第40番 ト短調 K. 550
小工場に酸素熔接のひらめき立ち砂町四十町夜ならむとす
土屋文明『山谷集』
※東京都江東区に昔あった地名。今も通りの名として残っている。
ネクタイと海を間違う砂浜の平均気温四十度強
笹井宏之『ひとさらい』
少年のしぐさのように吸われゆく四十度ほど左翼を下げて
三枝昻之『農鳥』
スプーン一杯に満たざる蜜を集めたる四十日ののちに死ぬとぞ
稲葉京子『忘れずあらむ』
四十になっても抱くかと問われつつお好み焼きにタレを塗る刷毛
吉川宏志『青蝉』
四十トンあまりの鯨つぎつぎに跳びたる海はしばらくゆらぐ
秋葉四郎
満月の四十階のバーに飲む酔ってまだ飲むドライマティーニ
佐佐木幸綱
にんげんは地中せいぶつ大江戸線地下四十メートルの六本木駅
鈴木良明「詩客」2013-06-28
杉垣をあさり青菜の花をふみ松へ飛びたる四十雀二羽
正岡子規『竹の里』
死のきはの猫が嚙みたる指の傷四十日経てあはれなほりぬ
小池光『梨の花』
四十年使ひなれたる塗椀に汁盛る朝の夏至の葱の香
馬場あき子『あさげゆふげ』
事務所まで戻れば四十円安い愛のスコール駅で飲み干す
山川藍『いらっしゃい』
千葉君は四十過ぎてもときどきはT先生に怒られている
千葉聡『グラウンドを駆けるモーツァルト』
呑むための器ばかりが増えてゆく四十半ばの白い白い闇
ルビ:四十【しじふ】
大松達知『ぶどうのことば』
四十路びと面さみしらに歩みよる二月の朝の洎芙藍の花
ルビ:面【おも】 洎芙藍【さふらん】
北原白秋『桐の花』