2019年10月28日月曜日

富士の見立て(12) 三吉夢にスルガ・サブリミナル

時宜(よろ)しからぬ山はするがのふじなれや夏冬とらぬ雪の綿帽子 三休斎白掬 K1748

Fuji's Suruga (just-do-it) Peak is outrageous and wrong
to keep that thick, snow-white hoodie on all year long!

F:これって、さっき言った蜀山人の「駿河いちばん」のスルガの行為に及ぼうとしてダメよって拒絶された、というような意味も少し入ってますか?


G:そういうエッチな話かと思わせて、富士の雪の話だよ、と無邪気なオチ。「時宜しからぬ」は四季に従わない無作法の山、という意になる。


F:なんか富士ってスルガがサブリミナルでが潜んでいそう。

裾野よりまくり見たるお富士山甲斐で見るより駿河一番 蜀山人


富士の山たかねの雪は消えもせで早するがにはなすの初なり 無為楽 K1777


F:これは三吉夢※の絵の賛だそうですね。

G:これはお手上げです。(笑)

F:え、うそー。初夢の三つの吉をつなぐ文脈の裏に、例のサブリミナルで「新年早々に例のスルガをなして身ごもった」って書いてあるじゃないですか。

G:何でもそう見えてくる。

F:やだ、これってスルガ病? ナスまで怪しい。

※初夢に見ると縁起がいいとされている一富士二鷹三茄子のこと。これには「四扇(しおうぎ)五煙草(ごたばこ)六座頭(ろくざとう)」という続きがある。座頭は髪の毛を剃っているから「けがない」というしゃれらしい。
(なお、駿河国(今の静岡県)の名物を列挙したものとする説もある。)



G:じゃあこれは?

見し夢のふじより高き名をあげて鷹のごとくになれなれなすび 白玉翁 T1731

F:詞書に「ある人の春より秋までの間に富士鷹茄子を三度に夢みて悦びければ詠みてやる」とありますね。

G:これもようわからんが、「なれなれなすび」は音がよい。まじないみたい。元気出そう。

F:確かに、これはスルガ的な意味はなさそうですね。

 なすびはめでたさでは三番手。それを富士より高き名をあげる鷹みたいになれと、順位を逆転させる縦方向の上昇イメージがある。かつ、一方、なすびが鈴なりになって幸福がいくらでも増殖しそうな横広がりのイメージもあって、よくできていますね。

(続く)




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