2020年2月19日水曜日

ミニ20 一のわれ 二のわれ

◯「一のわれ」と「二のわれ」という二種類の「われ」を詠む歌がある。
私の知っている中でもっとも古いのはこれ。

一の吾君を得たりとこをどりす二のわれさめて沈みはてたる
前田夕暮『収穫』1910

◯そしてぽつぽつ。

炎天をゆく一のわれまた二のわれ
阿部青鞋『ひとるたま』1983(俳句)

一のわれ二のわれがいて物欲しげなるあり方を二が批判する
小高賢『秋の茱萸坂』 2014

◯そして発展型?

一のわれ欲情しつつ山を行く百のわれ千のわれを従え
渡辺松男『寒気氾濫』1997

一のわれ死ぬとき万のわれが死に大むかしからああうろこ雲
渡辺松男『泡宇宙の蛙』1999

木枯吹く一億分の一の我
鈴木伸一 「吟遊」第17号

0 件のコメント:

コメントを投稿