と、ずっと思っていた。
でも、実際に歌を集めてみたら、確かにマイナス系が多いは多いが、なんともいえない歌もあるし、プラス系も多少はあることがわかった。
「ひでえ詠まれようだな」と苦笑するような歌が特に「ストッキングの歌」として印象に残るのだろう。
■マイナス系
こころがもしストッキングのやうにのびるならストッキングは気味わるからむ
渡辺松男『雨(ふ)る』2016
※この歌、ストッキングの身になって詠んでいるんですよね。おもしろい。
パンティーストッキングで首をくくりし小説家鈴木いずみの生の加速度
有沢螢『朱を奪ふ』
かなしさの逃げ道としてびりびりとストッキングを裂きながら履く
千原こはぎ『ちるとしふと』
肉色のストッキングが疎ましい 姉と義兄の後ろを歩く
柴田瞳
あの青いストッキングに触れたならぶん殴られたりするんだろうな
望月裕二郎『ひらく』2009
■どちらでもない系
こんなにもいたでを受けて君はいるストッキングを伝線させて
嵯峨直樹
社交辞令そして素足を今朝もまたストッキングに滑りこませる
ルビ:社交辞令【かろき嘘】
天道なお『NR』2013
この部屋から富士山見えおり干してあるストッキングを透かし見てみる
浜田康敬
利己的な点すこしある友人の話題が靴下ストッキング のことに戻る
安藤美保『水の粒子』1992
塀の上を過ぎゆく猫に見られつつストッキングに片足とほす
高田流子『猫町』2011
昼の雨はストッキングに染みながらあかりを点けて人を呼びたり
石川美南『離れ島』
ストッキングに寄りたる皺を引き伸ばし引き伸ばし辻褄合わす
平山繁美『手のひらの海』
■プラス系
死んでしまった夫に逢いに行くために夢の中にてストッキングはく
間ルリ 『それから それから』2014
娘あらば秋のソファに翅のごとストッキングなど落ちゐむものを
栗木京子『水仙の章』
宵闇に風も涼しと軒先を揺れているストッキングの爪先
勝野かおり
■プラス系
死んでしまった夫に逢いに行くために夢の中にてストッキングはく
間ルリ 『それから それから』2014
娘あらば秋のソファに翅のごとストッキングなど落ちゐむものを
栗木京子『水仙の章』
宵闇に風も涼しと軒先を揺れているストッキングの爪先
勝野かおり
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