2020年6月30日火曜日

青001 冬空の澄み極まりし青きより現はれいでて雪の散り来る 窪田空穂


冬空の澄み極まりし青きより現はれいでて雪の散り来る
窪田空穂『泉のほとり』1917

天界の〈青〉が澄み極まり、そこから雪が地上に散ってくる。晴天の空から雪が散ってくる「風花」という現象を詠んでいるのだと思う。

だが、単なる深読みかもしれないが、この歌には、天地の大がかりな仕掛けを暗示しそうになる、以下の要素がひそんでいると思えてならない。

「散る」は雪を桜に見立てる言い方だ。
そして、樹木である桜は、地から吸収したものを樹上に運び花に咲かせて降らせる仕組みである。

そのように、地上という決して極まることのない場から排出されるものを空が汲み上げ、澄み極まるまで浄化して地上に返してくる……。
そんなシステムを、うんと淡く(サブリミナルなみのひそかさで)暗示しそうになっている。


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