佐藤弓生 『薄い街』
ひかりながらこれが、さいごの水門のはずだと さようならまっ白な水門
井上法子 『永遠でないほうの火』
釣り針といふものかこれが 飲み込めば身体から海、海の剥がるる
石川美南 『裏島』
見えますか食べものを出しっぱなしのテーブルあれが北海道です
雪舟えま『たんぽるぽる』
折り畳み式のベッドはほそくあをく縞模様してそれが西洋
紀野恵 『午後の音楽』
ああそれが転ばぬ先の杖ですか祖母の腕かと思いましたよ
木下龍也 『つむじ風、ここにあります』
★下の方にもっとたくさんあります。
肉屋の夫婦に双子が出来た これがホントのソーセージ
落語で聞いた都々逸である。
「これが◯◯」という強調に注目し、「これが」という文字列を含む歌を抽出した。
(例:これが愛だ)
ついでに「あれが」「それが」「どれが」も追加抽出した。
強調しない例(単に指差すだけで強調しない等)もあったが、線引がめんどうなので取り除かなかった。
本日の闇鍋短歌109,137首
これが:68首
あれが:15首
それが:58首
どれが: 3首
■これが
色づけてはならないものとして棚をひらいて これが僕たちの空
井上法子『永遠でないほうの火』
井上法子『永遠でないほうの火』
目が覚めるたびに深夜の冷蔵庫これが明けない夜なのだろう
宇野なずき 作者ブログ第64回角川短歌賞応募作品「希死念慮キック」
宇野なずき 作者ブログ第64回角川短歌賞応募作品「希死念慮キック」
これが最後の一つぶという自覚なく食べ終えた、そんな死もあろうよ
加藤治郎『しんきろう』
加藤治郎『しんきろう』
これがハイスピードカメラで記録した好きだと思い込む瞬間です
鯨井可菜子『タンジブル』
鯨井可菜子『タンジブル』
背後から乗られて吐いた春の気の これが亀鳴く声なのかなあ
佐藤弓生『薄い街』
佐藤弓生『薄い街』
中学で死んだ高山君のことを思うときこれが記憶の速度とおもう
山崎聡子 『手のひらの花火』
山崎聡子 『手のひらの花火』
茶碗の底に梅干の種二つ並びおるああこれが愛と云うものだ
山崎方代『方代』
山崎方代『方代』
平原の百姓小屋の物乾しのこれが人間の着る着物かな
小熊秀雄
小熊秀雄
これが海の愛だとばかり夢にみる海はわたしを呑み込んでしまう
杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』
杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』
ココナッツオイル頭皮にこすりつけ目を閉ずる夜 これが祈りだ
染野太朗『人魚』
染野太朗『人魚』
しゃらくさい面倒くさいまだ眠いこれが思想の全てであった
辻井竜一『遊泳前夜の歌』
辻井竜一『遊泳前夜の歌』
これがこれ生きた人間の顔かもよ あをじろく、あをじろく 何も知らず
土岐善麿
土岐善麿
これが女給/こちらが女優の尻尾です
チヨツト見分けがつかないでしやう
夢野久作
チヨツト見分けがつかないでしやう
夢野久作
■あれが
墓場から夥しい蝶 赤い蝶 あれがキヨコを食べて飛ぶ翅安井高志 『サトゥルヌス菓子店』
湖の底までとどく水の皺あれが悪意、と教へられたり
石川美南『裏島』
石川美南『裏島』
思えば、あれが時雨か 手をかざす青い炎に赤の交ざって
千種創一 『砂丘律』
千種創一 『砂丘律』
■それが
どの虹にも第一発見した者がゐることそれが僕でないこと
光森裕樹 『鈴を産むひばり』
光森裕樹 『鈴を産むひばり』
それが問いであるか答えであるのかは、岩礁に立つ白き灯台
松村正直『紫のひと』
松村正直『紫のひと』
ゆるやかな坂道をふとのぼり終えふり向いたならそれが夢です
松木秀 『RERA』
松木秀 『RERA』
海底に沈んで消えた岬の名、それがわたしの名前の由来
神﨑ハルミ
神﨑ハルミ
映像がわるいおかげで虐殺の現場のそれが緋鯉にみえる
千種創一『砂丘律』
千種創一『砂丘律』
白地図のやうな地平に生まれ出てそれが群馬だと知るまでの日々
田村元 『北二十二条西七丁目』
田村元 『北二十二条西七丁目』
■どれが
どれがわたしの欲望なのか傘立てに並ぶビニールの傘の白い柄
魚村晋太郎『銀耳』
いかがでしたか?
ではまたこんど。
いかがでしたか?
ではまたこんど。
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