硬貨やお札は、物体としての外観や質感の個性があり、そこから詩情が引き出されます。
また、「◯◯円」という金額の数字にも、詩情を引き出す力があり、なかなか興味深いと思います。
たっぷり味わってください。
ウエディングヴェール剥ぐ朝静電気よ一円硬貨色の空に散れ
穂村弘『シンジケート』1990
一円のアルミの硬貨落ちている畳の冬陽路傍のごとく
岡部桂一郎『一点鐘』2002
ネットにて反対を書く 一円玉のような軽さと思えども書く
なげやりに暮らしているとおさいふの一円玉が増えてくるのよ
星一つ書いて一円もらいたい億万長者も夢じゃないのに
中川聡 「早稲田短歌」43号
西友のレジ袋(M)2円なり買うとき今日は怒りが湧いた
染野太朗「詩客」2013-02-22
あなたがせかい、せかいって言う冬の端 二円切手の雪うさぎ貼る
笹川諒『水の聖歌隊』2021
五円玉 夜中のゲームセンターで春はとっても遠いとおもう
永井祐 (出典調査中)
断固たる面持ちで五円玉めがけ放尿している「九郎耄碌」
高柳蕗子『回文兄弟』
Jちゃんと舐めし膝の血「十円玉?」「五円玉の味?」舌ひからせて
大野道夫『秋意』
絵葉書の夢二の猫は出てゆきぬ一銭銅貨の月の出る夜に
橘夏生『セルロイドの夜』
1円
拾われぬまま一年が過ぎてゆくチョークまみれの一円硬貨
入谷いずみ『海の人形』2005
入谷いずみ『海の人形』2005
ウエディングヴェール剥ぐ朝静電気よ一円硬貨色の空に散れ
穂村弘『シンジケート』1990
一円のアルミの硬貨落ちている畳の冬陽路傍のごとく
岡部桂一郎『一点鐘』2002
ネットにて反対を書く 一円玉のような軽さと思えども書く
吉川宏志『鳥の見しもの』2016
なげやりに暮らしているとおさいふの一円玉が増えてくるのよ
本多真弓『猫は踏まずに』2017
パーマでもかけないとやってらんないよみたいのもありますよ 1円
永井祐『日本の中でたのしく暮らす』2012
永井祐『日本の中でたのしく暮らす』2012
「二個一円!」みやげもの売る中国の少女群がる雷雨のように
ルビ:二個一円【ニコイーチエン】
俵万智『サラダ記念日』1987
星一つ書いて一円もらいたい億万長者も夢じゃないのに
中川聡 「早稲田短歌」43号
2~4円
もやもやとだまされてゐる春日暮れ二円切手のうさぎ愛ごくて
ルビ:愛【め】
水上芙季『水底の月』2016
ルビ:愛【め】
水上芙季『水底の月』2016
西友のレジ袋(M)2円なり買うとき今日は怒りが湧いた
染野太朗「詩客」2013-02-22
あなたがせかい、せかいって言う冬の端 二円切手の雪うさぎ貼る
笹川諒『水の聖歌隊』2021
5円
五円玉を糸で吊して壁に貼り船の揺れ見る今日は十五度
森尻理恵 (出典調査中)
森尻理恵 (出典調査中)
五円玉 夜中のゲームセンターで春はとっても遠いとおもう
永井祐 (出典調査中)
断固たる面持ちで五円玉めがけ放尿している「九郎耄碌」
高柳蕗子『回文兄弟』
Jちゃんと舐めし膝の血「十円玉?」「五円玉の味?」舌ひからせて
大野道夫『秋意』
荻野神社賽銭箱に届かない五円玉がきらきら転ぶ
飯沼鮎子『土の色草の色』
飯沼鮎子『土の色草の色』
ともかくも今の幸せ享受するレジ袋代五円を払って
蒼井杏『瀬戸際レモン』
蒼井杏『瀬戸際レモン』
6~9円
かりかりのコロッケ八円ほくほくと揚がるあがるね箸にはさまれ
加藤治郎『昏睡のパラダイス』1998
加藤治郎『昏睡のパラダイス』1998
1円未満 2021・3・8追加
橘夏生『セルロイドの夜』
一銭であめ玉三個を買いし日の橋のたもとにありし駄菓子屋
宇佐美ゆくえ『夷隅川【いすみかわ】』
五十銭貰って/一つお辞儀する/盗めば/お辞儀せずともいゝのに
夢野久作『猟奇歌』
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