2021年3月6日土曜日

お金を詠む5 1万円~9万9999円(随時更新)

 1万円


大みそかの渋谷のデニーズの席でずっとさわっている1万円
永井祐『日本の中でたのしく暮らす』2012

一万円ですかと弱った声を出す運転手と聞くハザードの音
小坂井大輔『平和園に帰ろうよ』2019

一生分のセックスし終えたような目で一万円からお預かりする
東直子「短歌研究」2004・2

その一万円札僕のですと云えなかった十二歳だったから
穂村弘(出典調査中)

年収を越したらもう返せない父よ生きかえって霧のなかからあらわれてくれ一万円札の束持って
フラワーしげる 『ビットとデシベル』2015

10001円~99999円


ひとり暮らす父がため夏が買ひくれし一万四千円のおせちの箱や
小池光『梨の花』2019

2万円くらいおろして行く駅の曲がったらへんで懐かしかった
伊舎堂仁詩客」2017・11・04

結婚をすると会社が二万円くれるらしくて考えている
吉田恭大『光と私語』2019

労働を維持するために一箇月の医療費が二万円を超えたり
生沼義朗『関係について』

二万円ポケットにあるあと全部ロッカーにあるそんな日もある
辻井竜一『遊泳前夜の歌』2013

気にかかり百円のみ押さえし馬券二万九千五百八十円
松木秀『親切な郷愁』2013

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