「◯には◯の△が□」
おもしろそう。
ところがこれは、データベースのテキスト検索ではひどく探しにくいことがわかりました。
かなり見落としたと思います。
(短歌だけでなく、俳句・川柳も少し見つけました。)
ピックアップ(なんとなく好みで6首)
葉月尽いとしいひととふるさとと青には青の挨拶がある
井上法子『永遠でないほうの火』2016
井上法子『永遠でないほうの火』2016
ネットにはネットの世界特有の酸素がありてすぐ炎上す
松木秀『色の濃い川』2019
いかがです春には春の怪談を 木々のからだが光りだしたら
佐藤弓生「梧葉」第54号2017・7
あけぼのすぎの空青ければ翼竜の冬には冬の両眼視
鈴木照子(出典調査中 だいぶ前の「かばん」誌)
分かれてはまた重なってゆく水を川には川の時間があって
江戸雪『昼の夢の終わり』2015
江戸雪『昼の夢の終わり』2015
抜かれても雲は車を追いかけない雲には雲のやり方がある
松村正直『駅へ』2001
■他にもいっぱい
蝶を踏む足裏の柔さ光にはひかりの色の繊毛がある
ルビ:柔(やわ)
服部真里子『行け広野へと』2014
ルビ:柔(やわ)
服部真里子『行け広野へと』2014
明日あらば明日の蛍光灯がある明日の地球の一部分には
松木秀『5メートルほどの果てしなさ』2005
みどりにはみどりの理由いつだつて春のあやまちは夏になること
笹原玉子『われらみな神話の住人』1997
笹原玉子『われらみな神話の住人』1997
その日にはその日の天使が舞い降りてギリギリ助けてくれるものだよ
久保芳美『金襴緞子』2011
かの木にはその木の祈りありてこそかく咲きにけむ遠山桜
小野興二郎(出典調査中)
畔には泡の逢瀬があるようにひとにはひとの夜がくること
井上法子『永遠でないほうの火』2016
ひとにはひとの内の砂漠があることを思う常夜灯を消しつつ
中村みなみ「早稲田短歌」43
大人には大人の絵本があるように大人の恋もあるという嘘
芹沢茜(出典調査中)
子どもには子どものための傘がある ときに巨きなてのひらに似て
佐藤弓生(出典調査中)
七十には七十の恋があるべしと思ふ心にほのぼのとゐる
稲葉京子『忘れずあらむ』2011
あなたにはあなたの土曜があるものね 見て見ぬふりの我の土曜日
俵万智『サラダ記念日』1987
俵万智『サラダ記念日』1987
きみにはきみの日曜日があるわたしにはそれを想像する日曜日がある
イソカツミ『カツミズリズム』2004
あなたにはあなたの大事にするものがあるという話をきいてからうごく
柳本々々「詩客」2017・10・7
あなたにはあなたの修羅場があったろう頭ごと撫でてしまえり好きで
永田紅『春の顕微鏡』2018
「エイリアン」音高くして観る真昼われにはわれの死が訪れむ
西田政史『ストロベリー・カレンダー』1993
やがて春、春には春の花が咲く感動はない解釈がある
森本平『個人的な生活』1999
森本平『個人的な生活』1999
陰陽師 春には春のころも着て髪洗うべくたまごをにぎる
井辻朱美『クラウド』2014
大谷真紀子『花と爆弾』
切り株は心のように孤りにて夏には夏の夜と昼あり
小島なお『展開図』
目がさめてまず靴下をさがしおり冬には冬の朝の愉しみ
久野はすみ『シネマ・ルナティック』2013
夜には夜の姿にならうすずなりの祭りの電飾をくぐりゆく
山階基『風にあたる拾遺』2019
夜には夜の上澄み さくらんぼはふたつにわかれた
瀬戸夏子『かわいい海とかわいくない海 end,』2016
夕べには夕べの速さの瀬の音す月射せば月を砕く瀬の音
阪森郁代『ボーラといふ北風』2011
俳句
子どもには子どもが見えて秋のくれ 八田木枯『夜さり』2004白鳥や空には空の深轍 高野ムツオ
空青し冬には冬のもの食べて 和田耕三郎『青空』2007
花冷えや昼には昼の夜には夜の 鷹羽狩行
川柳
鬼にはオニの事情があって迂回する 本多洋子木には木のことばがあって木を植える 定金冬二
不逞かな朝には朝の声が出る なかはられいこ
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