2021年5月3日月曜日

ミニ45 のっぺらぼう

「のっぺらぼう」という語を含む短歌を集めてピックアップしました。


俳句川柳も探してみたところ、俳句は極端に少なく、川柳はわりにたくさんあるようでした。

2021年5月8日追記

俳句では少ない、と思っていましたが、「俳句季語一覧ナビ」というサイトで「のっぺらぼうを使用した俳句」というふうにまとめられているのを発見。あるところにはあるもんですね。

●短歌


魚たちの喜怒哀楽を思ひつつのつぺらぼうの蒲鉾を食む
ルビ:食(は)
小川真理子『母音梯形』2002

一心に釘打つ吾を後より見るなかれ背は暗きのつぺらぼう
富小路禎子『白暁』1970

雨雲の下でのっぺらぼうは待つ 泣きかたはみなそれぞれちがう
平川哲生(出典調査中)

母の老いわれは知らざり娘の老いを母は見るなし互みのつぺら
百々登美子 『風鐸』2005

ヒトラーの頭骨の穴想うとき十勝の空ののっぺらぼうめ
松木秀『5メートルほどの果てしなさ』2005

改まつていはれるとどうなんですかのつぺらぼうとちがひますか
平井弘『遣らず』2021


●俳句


福笑のつぺらぼうにして畳む
西原天気『けむり』2011


憤怒り
怒る

全身舌ののつぺらぼう
高原耕治(出典調査中)

★2021年5月4日追加

逝く春ののつぺらぼうの顔見たり  河原枇杷男
俳句の箱庭・透次さんより教えていただきました。)


●川柳


触れてみたアナタの右脳のっぺらぼう
夏井せいじ「月刊おかじょうき」2017年12月

みぞれふるのっぺらぼうのうらにふる
三浦蒼鬼「月刊おかじょうき」2017年04月

のっぺらぼうにマスクをしてはいけません
むさし「月刊おかじょうき」2016年03月

表札がのっぺらぼうになっていた
三浦昌子「月刊おかじょうき」2012年04月


おまけ:福笑


上記の俳句の中に「福笑」という言葉がありますが、のっぺらぼうに関係があるので、これも探してみました。

短歌・俳句ではうんと少なくて以下の2首1句だけしか見つかりませんでした。


福笑いのからだ今ごろ痛んでるのではないかな さくらは生きて
杉山モナミ「かばん」2016・4

福笑い君が笑った円盤の大きな銀に乗りにけるかも
三好のぶ子「かばん」1998年1月


福笑鉄橋斜め前方に
波多野爽波 『骰子』1986



川柳は以下2句をピックアップしておきますが、かなり詠まれているようです。


真面目な顔ができてしまった福笑い
北野岸柳「月刊おかじょうき」2006年01月

父という優しいだけの福笑い
斎藤茂生「月刊おかじょうき」2005年06月

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