「『沽券にかかわる』と言うべきところを『股間に……』と言っちゃった。」
「いや俺なんか「眉間にシワを寄せる」を『股間に……』と言っちゃった。」
みたいな話だ。
「股間」なんて短歌にめったに詠まないだろう、と思った。
でも念の為に調べてみたら、多くはないけどそこそこ詠まれていた。
けっこう詩的用途があるみたい。笑
10首ピックアップするので、読んでみてください。
望月裕二郎『あそこ』2013
ジェット機が雲生むまひる愛のかわりに潜水で股間をくぐれ
穂村弘『ドライ ドライ アイス』1992
夏の夜の壁に凭れた微睡みの股間に鳴っているオルゴール
穂村弘(出典調査中)
枇杷の汁股間にしたたれるものをわれのみは老いざらむ老いざらむ
塚本邦雄(出典調査中)
旅に出る僕の股間は透き通り時の隘路に放火する犬
江田浩司(出典調査中)
係累が鋏を立てて踊りくる僕の股間に光る一筋
江田浩司(出典調査中)
街にもや、部屋という部屋包んだら妻が股間を拭く音がする
久真八志 「かばん」2018・6
股間にし火鉢はさみて暖をとるかの日釧路の石川一
佐藤通雅『強霜(こはじも)』2011
うたた寝ののちおそき湯に居たりけり股間に遊ぶかぎりなき黒
岡井隆『蒼穹の蜜』1990
股間には疼きを放つものありて花を揉むように紙をもんでいる
ルビ:疼(うず)
岡井隆『天河庭園集』1978
以下、俳句と川柳もすこしだけ。
永田耕衣『葱室』
冬蝶を股間に物を思へる人
永田耕衣『驢鳴集』
たまさかに銀はいななく股間来る
野間幸恵『ステンレス戦車』
丸山進『アルバトロス』
王様は股間に在って デモ終る
石田柊馬(出典調査中)
俳句
老いぬれば股間も宙や秋の暮永田耕衣『葱室』
冬蝶を股間に物を思へる人
永田耕衣『驢鳴集』
たまさかに銀はいななく股間来る
野間幸恵『ステンレス戦車』
川柳
明け方の股間を通る不審船丸山進『アルバトロス』
王様は股間に在って デモ終る
石田柊馬(出典調査中)
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