銭
ここまでは、多すぎるんじゃないかと思って「銭」を対象にしていませんでした。
試みに「銭」を検索したら、やっぱり、すごくいっぱいありました。
「お金を詠む」と銘打った以上、少しは拾っておく必要はあるので、軽く読んでピックアップしておきます。
「失くしたる小銭への怒り」地下鉄でベートーベンがうたってくれる
杉崎恒夫『パン屋のパンセ』
※ベートーヴェンのピアノ曲 ロンド・ア・カプリッチョ ト長調作品129 失われた小銭への怒り。ロンド・ア・カプリッチョは奇想曲風ロンドの意。ポケットの小銭、もゆらと鳴る黄昏われは鬼火となりているかも
ルビ:黄昏【こうこん】
神﨑ハルミ(出典調査中)
お賽銭入れて万歳三唱し肉食女子は青空を見る
ナイス害 サイト「うたの日」より
届かずにわたしの後頭部に当たる誰かの願いを込めた賽銭
小坂井大輔 『平和園に帰ろうよ』2019
賽銭の交尾する夢 木の箱を叩いて銀の玉あふれだす
嵯峨直樹(出典調査中)
「現在のあなたの趣味はなんですか?」「つり銭なしで払うことです。」
関口しいち 『パイナップルの種』2014
銭入にただひとつありし白銅貨てのひらに載せ朝湯にゆくも
ルビ:銭入【ぜにいれ】 白銅貨【はくどうくわ】
古泉千樫『青牛集』没後1933
なでしこを束ねて歩くポケットに花屋からきた小銭がはしゃぐ
山階基『風にあたる』2019
沢蟹をもてあそぶ子に 銭くれて、赤きたなそこを 我は見にけり
釈迢空『海やまのあひだ』
塩という金銭の比揄さびしきとタクシー待ちの列最後尾
藤原龍一郎 『日々の泡・泡の日々』2008
ひれ伏した乞食に人が銭を投げた/しかし乞食は/モウ死んでゐた
夢野久作『猟奇歌』
釣り銭を拾はむとする人のかほに自販機の灯はとどかざりけり
澤村斉美(出典調査中)
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