2022年3月18日金曜日

ミニ62 世界の果て

 2022・3・17

「世界の果て」というものを詠み込んだ歌をなんとなく探してみたら、おもしろかったので、ここに並べます。


2022年3月17日現在

闇鍋短歌総数121,012首
うち「世界の果て」を詠み込んだ歌は15首あった。
世界の果てにある何かを詠む歌が多く、意外なものがあっておもしろい。

どの世界の果てにも進路室はあり悩みを一つ聞いてくれるよ
千葉聡『グラウンドを駆けるモーツァルト』2021

南小北小西小東小世界の果てにある小学校
壬生キヨム『作中人物月へ行く』2018

ものすごい数のかきごおりをのせた世界の果ての2トントラック
笹井宏之『てんとろり』2011

定食屋世界の果てに漫画誌の油染みたる表紙をめくる
斉藤真伸『クラウン伍長』2013

象印マホービンから美しい世界の果ての波のさざめき
岡野大嗣『サイレンと犀』2014

思いましょう 世界は果てが滝なのに減らないくらい海に降る雨
我妻俊樹 Twitter 我妻俊樹(短歌)@agtm_bot

恐らくは世界の果ての奈落には透きとほる水素がなだれ落つ
紀野恵『閑閑集』1986

昨日とおなじ窓から街を見ている世界の果てを猫に預けて
山下一路『スーパーアメフラシ』2017

眠らない世界の果ての図書館で甘いゼリーを啜っていたい
柴田瞳「かばん」2008年4月号

まるで世界の果ての黄昏 日輪は仏頂面のまま立ち止まる
ルビ:黄昏【くわうこん】
田村元『北二十二条西七丁目』2012

しいたけの傘下に入りきのう得た世界の果てを硝子に透かす
東直子「現代短歌新聞」2014・10

ニコライ堂の鐘ひびく朝ゆっくりと世界の果てを歩いている
彦坂美喜子『白のトライアングル』1998

広角のレンズの端に浮かんでいるように世界の果てに三日月がある
渡辺里香(「かばん」時期不明)


「光あれ」言葉生まれたその時に言葉は世界の果てに届いた
見おろしに海が広がり僧院は世界の果てに建てられにけり
わたしには世界の果ての私がコーヒーカップをテーブルに置く
香川ヒサ
(3首とも出典調査中 連作かも知れないが不明。)


なお、俳句は1句だけ。川柳はナシだった。

蚊帳を出て世界の果てへ出てしまう
高岡修『水の蝶』

私の手持ちデータの俳句は約33000、川柳13,600と少ないので、そのせいで「世界の果て」も少ないのかと思った。しかし、現代俳句協会や川柳おかじょうきのデータベースで探してみても1句も見つからなかった。

ジャンルごとに〝食わず嫌い〟的な語がある。「世界の果て」もその一つであるらしい。


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