「ミニアンソロジー」というほどの歌数はなく、
「レア鍋賞」ほど少なくもない……、
そんな、ちょっとした短歌コレクションです。
(以前は「随時更新」として、いくつかまとめていましたが、
いま、1テーマ1ページの方式に移行しています。)
そんな、ちょっとした短歌コレクションです。
(以前は「随時更新」として、いくつかまとめていましたが、
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■ ばかみたい
「ばかみたい」というフレーズを詠み込んだ歌は、本日の「闇鍋」短歌データ122,363首のなかに15首と、意外にあった。
「ばか」には「ばかでかい」などの強調の用法があり、「すごく」という意味で使う「ばかみたい」が少なくないようだ。
自分に対して自嘲としてつぶやくシチュエーションも散見したが、ただそう書いただけでは歌として物足りない。プラスアルファで読ませるネタだ。
もう悲しむのもばかみたい焼きそばは大失敗がないから好きだ
山階基『風にあたる』2019
魚群がぎょっぐーん!って迫る水槽のふたりってばかみたいゆめみたい
石井僚一『死ぬほど好きだから死なねーよ』2017
ばかみたいに鮮やかだった。君のいない世界へ金属探知機ぬければ
ルビ:金属探知機【セキュリティーゲート】
千種創一『砂丘律』2015
ばかみたいに癒着している卵巣のモノクロームがきらきら痛い
田丸まひる 『ピース降る』2017
ティッシュ配る姿ばかみたいに見ていたわフードに猫が重たかったわ
飯田有子『林檎貫通式』2001
柚子の皮刻む大きな俎板でほんとうにばかみたい自由で
兵庫ユカ(「七月の心臓の栞」歌集以降作品抄三十首)2006
お茶漬けのあられ浮いててばかみたい会いたさはひどく眩しい梯子
北山あさひ 『崖にて』2020
ばかみたいってことの奇跡になんとなく気づいて水風船が割れない
櫻井朋子 『ねむりたりない』2021
余計なことだが、現実生活ではどういうとき「ばかみたい」と言うのだろう。
私の生活実感としては、自分のポカミスや場の空気の読み違えての失敗などで、自分に対して使うだけでなく、ニュースでくだらない犯罪を見聞きしたなど、他人の愚かさに対しても「ばかみたい」とつぶやく。つまり自他半々だと思う。
「ばか」と「ばかみたい」はどっちが馬鹿度が上だろう?
自嘲の「ばかみたい」は本気で「バカ」と思っていなくて、自分の愚かさに気づいてはいますからね、と言いたい感じみたい。
(個人的な勝手な考えだが、自嘲は信用できない。)
(個人的な勝手な考えだが、自嘲は信用できない。)
「ばかみたい」は、「度はずれな」「度をこした」、あるいは派手な感じ(暗くてばかみたいというのはあんまりいわない)という意味合いで軽く使うことがある。
おまけ
若い頃、仕事関係で聴講した講座で、すごく口の悪い講師(医師)が、職場の健康管理の悪い例をあげて、いちいち最後に「馬鹿!」とつけていたのを思い出した。
聴衆に向かって「馬鹿!」というので、なんだか自分が叱られている気がして感じは悪かったが、でも、この医師は血気盛んなキャラで、言ってることは的を射ててかなり納得したこともあり、案外キライじゃなかった。
聴衆に向かって「馬鹿!」というので、なんだか自分が叱られている気がして感じは悪かったが、でも、この医師は血気盛んなキャラで、言ってることは的を射ててかなり納得したこともあり、案外キライじゃなかった。
それから30年ぐらいたって、また仕事で講演を聞きに行ったら、講師がなんと懐かしい例の医師だった。内容はあいかわらず辛辣だったが、最後につける「馬鹿!」が「ばっかみたいね(笑)」に変化していた。
これがいわゆる「丸くなる」か、と思った。
これがいわゆる「丸くなる」か、と思った。
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