「ちょびコレ」とは、
「ミニアンソロジー」というほどの歌数はなく、
「レア鍋賞」ほど少なくもない……、
そんな、ちょっとした短歌コレクションです。
が、奇抜さにも〝レア度〟があって、大勢の歌人が才能を傾けて詠み合う状況では、「まれにある」というランクであるようだ。
(だから悪いの良いのという話ではない。
レア度は各ランクごとに使い道があり、歌によって程よいレア度を使い分けることが望ましい、と思う。)
おりたたみしき空を鞄につめこみて軍のときは逃げる覚悟だ
渡辺松男『歩く仏像』
またすこしふるくなるからいちまいの空をたいせつに折りたたむ
村上きわみ(出典調査中)
夕空は折り畳まれてきみの目に入つて涙にも火にもなる
藪内亮輔『海蛇と珊瑚』
上記3首、三者三様の踏み込みがたのもしい。
「まれにある」というレア度のモチーフの歌は、並べると特に読み応えが増す。
以下は、空そのものを畳むわけではないが、空を畳む感に少し近い感覚、通じる要素を感じる歌。参考としてあげておく。
初春や夢に眠りて夢を見る空にタオルをたたみ続ける
東直子 『春原さんのリコーダー』
テーブルの上に散らばる空論をしつこく畳む人の両の手
増田達郎「早稲田短歌」44号
冬空のたったひとりの理解者として雨傘をたたむ老人
笹井宏之『てんとろり』2011
(俳句) 空の箱たたむと見ゆる冬の橋
鳴戸奈菜(出典調査中)
2024・09・20
青空の畳まれた海で革命のない七月・十二月の窓を閉める
山下一路『世界同時かなしい日に』
2025・3・25 追加
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