2025年4月7日月曜日

レア鍋日記2025年 (随時更新しています)

レア鍋日記とは

ごくたまに更新しています。

データベースの登録数が増えたせいで、ワン鍋ニャン鍋賞が減り、それどころか3首のレア鍋賞もなかなか見つからなくなってきました。
その日の気分で、5首ぐらいでもレア鍋賞に入れてもいい、ということにします。


※新しい順で掲載

2025年4月7日 ワン鍋賞 仮縫い

ねえちょっとじっとしていて千本の仮縫いのまま生きてもいいの
藤本玲未『オーロラのお針子』2014

「仮縫」という語を含む歌は、約13万2千首のなかで、これ1首でした!!

2025年4月7日 ワン鍋賞 遣唐使

口いっぱい桃の花びら頬張らすときだけ正直癖遣唐使
鈴木有機「かばん」2002・5

「遣唐使」という語を含む歌は、約13万2千首のなかで、これ1首でした!!
「遣隋使」の歌はありませんでした。

俳句で
おんおんと遠はるせみや遣唐使
冬野虹『網目』

を見つけました。

歴史の授業で習った語、歴史上の人物名、を含む短歌のアンソロジー
そのうちやってみたい。

■レア鍋賞 幕府

ちょっと様子見で「幕府」を探してみたら!

さかみちを全速力でかけおりてうちについたら幕府をひらく
望月裕二郎『あそこ』2013

倒置せよ波浪注意のうしみつに足利幕府濡れ濡れて来
和合亮一 作者ブログ2015・10・27

肉体が幕府であれば刺激もとめやまざる舌はさながら出島
小池光『日々の思い出』

俳句も2句発見

鮟鱇の鍋の鎌倉幕府かな
大畑等 『ねじ式』2009

パンジーが幕府をひらけさうですね
土井探花 現代俳句協会HP 第40回兜太現代俳句新人賞受賞作

うん、いい手応えだ!

■2025年4月6日 レア鍋賞 ナポリタン 4首

本日の闇鍋全データ 180,432歌句
     うち短歌 131,894首
  このなかに「ナポリタン」を詠み込んだ歌は4首だけ。

ばくぜんと死を考える朝っぱら ナポリタン・スパたのむ昼過ぎ
白瀧まゆみ『自然体流行』1991

夕日色したナポリタンを食べている間は弱虫でもよいこととする
月夜野みかん 「五線譜もしくはストライプvol.1」 (2013年11月2刷)

夕焼けで炒めたようなナポリタン食う常連に猫背が似合う
鈴木ジェロニモ 「鈴木ジェロニモ自選短歌180首」(作者note 2023/3/11)

枝分かれした運命のいくつかのピーマンだけが具のナポリタン
山中千瀬『死なない猫を継ぐ』2025


 妙にシリアスですね。また、偶然でしょうが、この少ないなかで2首が、ナポリタンの色を夕焼けと結びつけているのがちょっとおもしろいと思いました。
 
 俳句も探してみました。

秋暑し演歌のようなナポリタン
石原ユキオ 作者サイト「石原ユキオ商店」

手持ちデータに「ナポリタン」を含む句はこの1句しかなかったので、ネットで探したところ、

六月のゆふぐれ色のナポリタン
草子洗 2020・6・18毎日新聞「季語刻々今昔」

永き日の病室母のナポリタン
晴田そわか 作者note 2023・2・6

の2句を見つけました。

俳句でも、この少ない数の中、「ナポリタン」と夕暮れの色が結びついていることに注目。理由はわからないけれど、意外に思いつきやすいのかもしれません。

川柳も探してみたのですが、「ナポリタン」は投稿サイトでは多く見られる題材のようです。



■2025年3月30日 レア鍋賞 木の股 3首

本日の闇鍋全データ 180,432歌句
うち短歌 131,558首

木の股に澄みつつしろき春雪の卵ほどなる玉のやさしさ
北原白秋『橡』1943

世界樹がふるえながら葉を落とす 木の股の形状きそいあい
山下一路『世界同時かなしい日に』2024

木の股から生まれて春のこどもたち味蕾ひろげて春をたべる
高柳蕗子「短歌」2023/05 (豆歌集『雑霊のシナプス』2025)


■2025年3月30日 レア鍋賞 印鑑5首

印鑑を押してください捨印を押してください捨ててください
松木秀『RERA』

牛乳からカゼインなるを取り出して固めてできた印鑑を押す
松木秀『色の濃い川』

印鑑を押して力を抜くまでのつかの間散漫の心はあらず
尾崎左永子(出典調査中)

両親が人間になる玄関の鏡台の印鑑ひとつだけ
藤本玲未『テリーヌの夢』2025

正直じいさんが足りない 吉相の印鑑たちをヒトにもどせ
高柳蕗子「かばん」202306 (豆歌集『雑霊のシナプス』2025)

★ここに自分の歌が交じるのが嬉しい感じ
■2025年3月30日レア鍋賞 PARCO 6首

夕照はしづかに展くこの谷のPARCO三基を墓碑となすまで
仙波龍英『わたしは可愛い三月兎』1986

夕ぐれは109の後方にPARCO三基をしたがへて来る
松原未知子『戀人(ラバー)のあばら』1997

昭和二十三年六月十三日太宰治死す 嗚呼!夕照のPARCO
藤原龍一郎『花束で殴る』2002

はじめてのロンドン帰り秋の日に金子由香利を聞きたるPARCO
中村幸一『あふれるひかり』2016

被曝だ、と笑い男らが吉祥寺PARCOを出でて夕立の中へ
染野太朗『人魚』2016

戦場はルサンチマンのスクランブルPARCO本気で墓碑にするまで
山下一路『世界同時かなしい日に』2024

仙波の歌が「PARCO」を詠んだ最初の歌、かどうかはわからないが、少なくともある程度知られて影響力を持った歌である。
山下の歌は仙波の歌を強く意識しているのは確かだが、他も、どの程度意識したかわからないが、夕暮れの光景でなんとなく「墓」だったり死に関わるものを詠み込む例が多いようだ。


■2025年3月24日 ワン鍋賞 はっけよい

 「はっけよい」「ハッケヨイ」「八卦良い」の3種類のテキストで検索。
 これ1首しかなかった。

はっけよいのこったのこった想いはねそなたの失脚願う愛情
久保芳美『金襴緞子』
■2025年3月16日 ワン鍋賞 前売り

「前売」という語を検索してみたところ、データベース闇鍋の13万首のなかにこれ1首しかなかった。

途方もなく未来のことを託される前売り券が重たくて春
塚田千束『アスパラと潮騒』2023

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