「ミニアンソロジー」というほどの歌数はなく、
「レア鍋賞」ほど少なくもない……、
そんな、ちょっとした短歌コレクションです。
(以前は「随時更新」として、いくつかまとめていましたが、
いま、1テーマ1ページの方式に移行しています。)
そんな、ちょっとした短歌コレクションです。
(以前は「随時更新」として、いくつかまとめていましたが、
いま、1テーマ1ページの方式に移行しています。)
■ 飲食店1 ラーメン屋
本日の闇鍋短歌データ
うち「ラーメン屋」の歌は7首。
そこからピックアップします。
ダクトから噴き出す風の臭いする体になって出るラーメン屋
飯田和馬「うたらば」vol16
乗せられたバスから見えたラーメン屋、結局行けなかったラーメン屋
千種創一『砂丘律』2015
リビングとベッドの間にラーメン屋なくて小さなどん兵衛ひとつ
田村元『昼の月』2021
詩歌の言葉の世界の「ラーメン屋」は特別な場所。日常のフツーの場所なのに、なんだか異世界と接していそう。境目、境界地点。入るときと出るとき、何かが変わる。(リセット、というのでもないのだけれど)
倉庫街にプレハブ建てのラーメン屋一軒ともりはじめる日暮れ山田航『水に沈む羊』
夕暮れに灯り始める。ラーメン屋に限らず何屋でも明かりを灯すし、抒情として夕暮れの明かりはありふれているのだが、ほんのかすかに、タイムスリップとか、なにかのスリップ、ワープポイントになり得そうな場所が営業を開始するような感じがする。
なお、私の俳句川柳データに「ラーメン屋」はナシ。ちょっと意外。時間があるとき探してみたい。
うち「ラーメン屋」の歌は7首。
そこからピックアップします。
ダクトから噴き出す風の臭いする体になって出るラーメン屋
飯田和馬「うたらば」vol16
乗せられたバスから見えたラーメン屋、結局行けなかったラーメン屋
千種創一『砂丘律』2015
リビングとベッドの間にラーメン屋なくて小さなどん兵衛ひとつ
田村元『昼の月』2021
詩歌の言葉の世界の「ラーメン屋」は特別な場所。
なお、私の俳句川柳データに「ラーメン屋」はナシ。ちょっと意外。
■ 飲食店2 おでん屋・うどん屋・そば屋
3首(作者は2人)。少ないなあ。これはレア鍋のほうにも書かねば。
ひとに売る自伝を持たぬ男らにおでん屋地獄の鬼火が燃ゆる
寺山修司『田園に死す』
おでん屋の湯気にわれらも茹でられて竹輪とがんもになりて別れる
田村元『昼の月』2021
詩的働きがラーメン屋と似通っているかどうか、少なすぎてなんともいえない。
10首中に顔に言及する歌が2首もある。偶然だろうか。
うどん屋に小さく座り人はみな顔よりうどん吸い込んでいる
東直子「ル・ファール」
岩盤浴終えて帰りのうどん屋にすっぴんのわれの啜る素うどん
植田美紀子『ミセスわたくし』
田村元『昼の月』
盗まうとすれば盗める長ねぎの箱あり朝の蕎麦屋の前に
大松達知『ぶどうのことば』2017
天ぷらをささやくように揚げる音聞きおり三時半のそば屋に
俵万智『サラダ記念日』
■ 飲食店3 定食屋
斉藤真伸『クラウン伍長』
定食屋うなだれている父たちが食らう撃ちぬかれたる蓮根
八木博信『ザビエル忌』
定食屋のしょうゆの瓶を握ったら見知らぬ人との握手のようで
戸田響子『煮汁』
あなたとは行かない駅にそのたびにかならず食べに寄る定食屋
山階基(風にあたる拾遺2012-2015)